肌色

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2019年11月26日 (火) 11:05時点における田舎の西北 (トーク | 投稿記録)による版

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肌色(はだいろ)は、の一つで、文字通りの色。日本語の「肌色」は黄色人種である日本人の平均的な肌の色をイメージした、薄いオレンジ色を指す。浅黒く日焼けした肌は肌色ではなく小麦色などとよぶ。同じ黄色人種でも東南アジアのような浅黒い肌は茶色や褐色と言われる。

英語ではフレッシュ (flesh) に該当するが、これは厳密には日本語の肌色よりも白色人種の肌の色に近い。日本語としては肉色(にくいろ)と訳されることもある。

近年の呼び換えの動きについては後節「#差別意識に対する取り組み」を参照。

言語としての肌色

「肌色」とはここで述べている「人肌と同様の特定の色」という意味のほかに、多くの辞典類では大まかに「ヒトの肌の色」そのものを意味する場合や、器物などの「地肌の色」を指す場合もあるとされている。

人肌の色としての「肌色」は色彩を表す言語としては特殊な面があり、特定の色を指す場合でも人肌または人肌と密接に関わるものを意図した場合に使われている。例えば下着類や化粧品は肌色と呼ばれるものがある一方で、茶封筒などの人肌とは無関係のものに対して肌色に近い色が存在しても通常は肌色と呼称されず、薄橙や薄茶など別の表現が用いられるのが普通である。

しかしJIS慣用色名により肌色が特定の色として定められており、厳密に特定の色を表現する必要がある場合はその限りではない。色を利用する立場における既成の「肌色」は汎用性のある特定の色として利用されることがあり、かつては画材などにも用いられていた。

例えば、過去には市販の児童向けクレヨンや色鉛筆において、人を描くときのために16色程度の最低限のセットに含まれる色に「肌色」という呼称の色が含まれることが多かった。そのような使用できる画材色が極端に限られている状況下において電球色木材のような微妙な色を表現するためには、あえて肌色をベースに描くことも貴重な手段となりうる。しかし肌のための色という言語上の固定観念は根強く、描画目的であっても肌以外のものに肌色を使うことを無意識に避ける者は少なくない。

表現としての「肌色が多い」という場合、これは素肌の露出が多い色気のあるもののことを示す。(例:「OVA 俺たちに翼はない番外編『肌色率九割増』」)

差別意識に対する取り組み

人種差別に対する問題意識から、人種・個人差・日焼けの度合いによって肌の色は異なるのに特定の色を肌色(フレッシュ)と規定することはおかしい、としてこの名称を避ける動きがあり、クレヨンクーピーペンシル絵具等で従来の肌色を薄橙(うすだいだい)やペールオレンジ (pale orange) 等と言い換える場合がある。アメリカでは、たとえば1962年にCrayola社は肌色に相当する flesh の呼称を“peach”(ピーチ)と呼び変えている。日本では、2000年前後から大手文具メーカーが協議の結果として「肌色」という呼称の使用を取りやめるようになり、2005年から2006年頃には全てのクレヨンからこの呼称が撤廃された。

江戸時代以前、仏教が広く一般に広まるまでのかつての日本において、この色は「宍色(ししいろ)」と呼ばれていた。「宍色」とは獣の肉色の意味である[注 1]。肉食を禁じられた人々は[注 2]、これに代わる呼び名を考えた。そして考え出されたのが「肌色」という呼び名である。

近似色

脚注

注釈

  1. 宍は肉の同音異体『倭名類聚鈔』(938)。「しし」は主として食用の獣の肉を指すときに使われた語で、「かのしし(鹿肉)」「ゐのしし(猪肉)」「くししし(鯨肉)」などと呼び、転じて肉を取る獣一般を指す言葉となった。『万葉集』(759)。『大安寺資財帳』天平19年(747)。
  2. 『日本書紀』天武天皇4年4月17日(675)仏教の殺生禁断の教えにより、「牛馬犬猿鶏の宍(しし)(肉)を食ふことなかれ」と肉食禁止令の詔。五代将軍綱吉の貞享4年(1687)、「生類憐れみの令」制定。

出典

関連項目